親孝行

どんな人間も避けられぬモノに必死に抗う。

万人に共通する避けられぬモノは「死」だ。

父親が数年前に脳出血で倒れてから、そう長くはないのではないかと覚悟はしていたが、
いざ近くなると、思いは千々に乱れる。

2010年以来帰省していないので、兎にも角にも存命中に顔を見せて、できることなら話を
して、もっとできることなら元気づけて来ようと思い先週帰省した。



野辺地駅の待合室。
女子高生がストーブにあたりながら駅蕎麦を啜っている。
なんだか風情がある。



関東でも大雪という異常気象にあるのに、この地だって大雪に苦しめられているようだ。
なにせ、前日、脱線したというので、野辺地駅に足止めくらった格好なのだ。

なんだかんだ野辺地からさらに数時間車で目的地に向かい、父親に逢うことができた。
既に多方に渡って筋力が落ちていて、話すことすらままならない状況に泣きそうになりながらも、
泣いたら不安にさせると思い、口数を抑えた。

母親が言うには、オレの顔を見て普段には無い活気を見せたそうだ。
最低最小限のせめてもの親孝行ができたが、満足はしていない。
如何せん話せないので、息子達や妻に伝えたいことが伝わらない。
考えると、生き地獄ではないか。。

感謝の言葉も恨みつらみの言葉も一切合切伝えることができない。
この世に神も仏もいるのであれば、せめて安らかに慈悲の心を持って旅立って欲しい。

こんなときでもキレイに見える富士山がなんだか恨めしかった。



☆１１：１４